第9章 きみどり scene4
リビングで待ってると、相葉さんが智を連れて入ってきた。
「わ~…翔ちゃんち、初めて…」
きょろきょろしながらはいってくる。
「さ、さ、リーダー入って」
相葉さんが智をお誕生日席に座らせる。
「えっ…こんな席なの?」
一人だけ豪華な料理の並ぶ席に座らされて、真っ赤になってる。
「いいの?俺…」
「何いってんの。あなたの誕生日なんだよ?」
「あ、うん…」
それでもまだもぞもぞしてるからおかしくて。
相葉さんはこらえきれなくて、後ろで爆笑してる。
「はいは~い!はじめよ~!」
潤がでっかいケーキを持って、入ってきた。
大阪でもお祝いしたけど、東京でのお祝いは初めてだ。
そして、俺達が付き合って初めてのお誕生日パーティー。
「リーダー、お誕生日おめでとう!」
潤が、ろうそくに火をつけてケーキを差し出した。
翔さんが電気を消した。
『35』のカタチのろうそく。
なんとも言えない顔で、にこっと笑うと、一気に吹き消した。
電気がつくと、なんだか涙ぐんでる智。
嬉しそうに俯いてるから、そっと手を握った。
びっくりして俺の顔を見ると、また顔が歪んだ。
「どうしたのよ…?」
「うれしいの」