第9章 きみどり scene4
それでも、セックスで腰が痛いですなんて言えなくて、収録には全力で臨む。
だって、これが俺の仕事だから。
なんにもないような笑顔を装ってるけど、メンバーにはまるわかりで…
「ニノ、大丈夫?」
相葉さんがさり気なくフォローしてくれたり。
「クリフクライム代わるよ」
翔さんが申し出てくれたり。
「ニノ、座ってなよ」
ちょっと合間にも、イスをもってきてくれる潤。
メンバーは相当気を使ってくれた。
それが申し訳なくて、ほんと落ち込む…
当の智は、相変わらず子犬みたいな目で俺を見てくるし…
「もう…そんな顔しないの…」
そっと囁くと、今度は雨に濡れた捨て犬みたいな顔になって…
「ごめんね…かず…」
「も、いいから。ちゃんと仕事して?」
この人、思ってることが全部でちゃうから、今日の収録もずっと冴えない顔してる。
「俺達は嵐なんだからさ。ね?」
「うん…」
背中を叩くと、ふらふらと席につく。
だめだこりゃ…
ホント、本能で生きてる人って…
その時、収録の休憩が延長しますってADが言って。
これ幸いと、智の手を取ってスタジオを出た。