第8章 インディゴ scene1
誕生日プレゼントはもう、随分前に渡していた。
雅紀にだって、もうこの前あげたばかりだ。
我慢できなくて…
二人の喜ぶ顔が早く見たくて。
「ねえ、智にとびっきりの誕生日プレゼントあげよ?」
いたずらっぽく微笑む雅紀。
どんなプレゼント…?
「あのね…」
雅紀が俺の耳元に口を寄せる。
囁かれた言葉に驚いて、雅紀の顔を見つめた。
「ふふ…だって、誕生日だよ…?」
そういうと、俺にキスした。
「お祝い、しようよ?」
「う…ん…」
頷くと、雅紀は俺の髪を撫でた。
「かわいい翔ちゃん…大丈夫。俺がゆっくりとしてあげるから…」
褐色の肌を晒しながら、優雅にまた俺にキスを落とした。
それから、毎日どきどきして過ごした。
11月に入ったら、週末はコンサートで。
名古屋、札幌と続いたら一週空いて。
構成の直しが入ったりしながら、バタバタと時が流れていった。
大阪に入るとき、俺のどきどきは最高潮に達していた。
ここまでゆっくりと3人で会う暇がなくて。
でも、今日。
日付が変わる瞬間は、絶対に3人で居られるように、スケジュールを調整した。
神様。
うまくやれますように。