第8章 インディゴ scene1
それからは、誰かのうちに集まって毎日のように、新婚みたいな生活を送った。
でも…
一つだけ、困ったことがあった。
俺が、先に進めない。
ふたりとも、俺を求めてくれて。
その気持ちはとてもうれしいのに。
いざ、その前までいくと怖くて。
勝手に涙が溢れるほど怖くて。
求められることが嬉しいのに、恐怖が先に立って、今だに俺達は結ばれていなかった。
決まって最後は、泣く俺を慰めて…
申し訳ない気持ちで一杯になる。
でも、知れば知るほど、怖くて。
男である俺が、あんな事したら…
一体どうなるのか。
どう感じるのか。
怖い…
引き返せない、闇に入っていくようだった。
「ごめんね…ごめんね…」
「いいんだよ…翔ちゃん…」
「翔くん、無理しないの。大丈夫だから…」
優しい二人の腕に抱かれて眠ることはできるのに…
どうして…
俺、なんで勇気が出ないんだろう…
智くんがシャワーにいくと、雅紀が俺の身体にシーツをかけてくれた。
「ね、翔ちゃん…」
「ん…」
「もうすぐ、智の誕生日だね…」
「うん…」