第8章 インディゴ scene1
「俺たち…そうだよ。付き合ってるよ…でもね…翔ちゃんのこと、好きなんだ…」
雅紀の瞳から、涙が零れた。
「おかしいかな…おかしいよね…でもね…翔ちゃんも、俺達の事…」
「好きじゃないの?」
「え…」
「俺、翔くんが俺達の事すきだって思った。違う?」
好き…?
俺が、二人のことを…?
じゃあ、あの心臓の苦しいのは…
恋?
「…わ、からない…」
でも…キスしたら気持ちよかった。
…もっと触って欲しくなった…
もっと…先に進みたいと思った。
それは事実で…
「翔くん…」
また智くんの顔が近づいてきた。
「抱いて、いい…?」
答える間もなく、智くんの舌が耳を嬲って。
ぶるっと震えてると、雅紀の手が俺のパジャマのボタンを外し始めて。
「あ…や…ちょっと待って…」
「待てない。翔ちゃんがすき…」
雅紀の切羽詰まった声が聞こえてきて。
急にパジャマの前が開かれて、外気に晒された。
鳥肌がたった。
その肌の上を雅紀の唇が滑っていった。
「んっ…あっ…やめ…そんな…」
一気に突き上げてくる快感に抗うことができなくて、力が入らなかった。
「翔くん…すきだよ…」
智くんの甘い声が、俺の意識を現実から引き剥がした。