第8章 インディゴ scene1
「あ…ちょっとね…具合悪かっただけだから…」
「翔ちゃん!大丈夫?熱あるの?」
雅紀が凄い勢いで立ちあがって、テーブルの反対側にいる俺のところまで来た。
無理やり額に手を当てる。
「熱は…ないみたいだけど…だめだよ。横になろ?もう、お風呂入ったんだよね?」
「え…」
「雅紀、翔くんの髪、乾かしてあげようよ」
智くんの声が追いかけてくる。
結局、無理やり洗面所まで連れていかれて、ドライヤーを掛けられた。
乾かし終わると、寝室へ連れていかれて、寝かされた。
「ごめんね?具合悪いのに押しかけて…なんか食べたいものある?」
食欲がなかったから、首を横に振る。
「翔くん…食べなきゃ治らないよ?」
智くんが俺の髪を撫でた。
「もう…具合は悪く無いから…平気…」
「またそうやって無理する!翔ちゃん、いっつも具合悪くてもいわないじゃん!」
雅紀が俺の前髪をぐいっと持ち上げて、額をぺしっと叩いた。
「どうして俺たちに遠慮するの?」
優しく微笑むから…
涙が出た。
「しょ、翔ちゃん!?」
「翔くん…どうしたの…?」
二人の手が、俺の頬を包み込んだ。