第1章 しあわせはここにある-parallel-
かずの身体が震えた。
顔をみたら泣いていた。
「大野さんが欲しい…」
そう言って泣きじゃくった。
「泣かないで…かず…」
「大野さんの心の傷も、身体の傷も、全部俺にちょうだい?」
「かず…」
「智っ…」
かずが俺に覆いかぶさってきた。
泣きながら俺の体中にキスをした。
「全部、ちょうだい…俺に…」
「だめだよ…かず…」
口では拒否するけど、身体が逃れられなかった。
気持よくて。
汚い…俺は汚い。
快楽にまみれて。
かずまで汚してしまう。
「分けて…俺に…」
「…え?」
突然、かずが俺の顔を掴んだ。
「全部俺に分けて。汚い快楽も」
胸を抉られたようだった。
「一緒に…地獄に堕ちようよ…」
そう言ってかずは俺を口に含んだ。
「あ…だめ…かず…」
かずの頭を押したけど、手に力が入らない。
かずの口の中は熱くて、熱くて。
俺はその熱に飲み込まれていった。
「ん…あ…ぁ…かず…ちょうだい…」
俺はいつものようにねだってた。