第8章 インディゴ scene1
「…いらっしゃい…」
玄関のドアを開けると、二人は微笑んで入ってきた。
「おじゃましまーす」
声を背中に聞きながら、どうしていいかわからなかった。
「翔くん?」
智くんが呼びかけても、振り返ることができなかった。
なんで…なんで二人でくるの…?
なんで…?
仲良さそうに玄関で立ってる二人。
また心臓がきゅっと縮んだ。
「…入って」
それだけいうと、リビングのドアを開けた。
そのまますぐにキッチンに行って、二人の為にコーヒーをセットした。
「わー翔ちゃん、部屋散らかってる~」
雅紀の声が聴こえて慌ててリビングに出る。
「ごっ…ごめんっすぐ片付けるからっ…」
慌てて脱ぎ散らかした衣服を片付けて、洗濯機にぶち込んだ。
リビングに戻ると、智くんと雅紀は微笑んで俺を見つめた。
「大丈夫だよ。そんな慌てなくて」
くすくす笑われて、消えたかった。
「ごめん…適当にその辺に座ってて?」
それだけいって、またキッチンに立てこもった。
どういうつもりで二人がここにきたのか、考えたかった。
「翔くん…?」
智くんが、キッチンの入口で、また俺を見つめてる。
お願い…
心、かき乱さないでよ…