第8章 インディゴ scene1
そっと雅紀が俺を床に横たえた。
「ごめん…翔ちゃん…」
涙を浮かべながら、雅紀が俺の頬に触れた。
「雅紀…」
雅紀の首に腕を回して、引き寄せた。
たまらなく、欲しかった。
「キス…もう一回…」
そう囁いたら、雅紀の顔がみるみる赤くなって…
「いいの…?」
「うん…欲し…」
言ってる最中に、雅紀の激しいキスが降りてきて。
「んぅっ…」
思わずまた、小さな声を上げてしまって。
口角から唾液が漏れるほどの激しいキス。
息が上がる。
苦しくなって、雅紀の胸を叩いたら、顔を上げて。
切ない顔をして、起き上がったかと思ったら、俺を抱き上げた。
「わっ…」
思わず雅紀の首にしがみついた。
こんな細い身体のどこにこんな力があるのか…
そのまま俺を抱きかかえて、雅紀は寝室へ入った。
遊びに来たことはあるけど、初めて入る。
電気をつけないで、ドアを開け放したまま、ベッドに寝かされた。
ふと目に入った。
あれは…
智くんのパーカー…
ハンガーに掛けて、壁に掛かってた。
「あ…だめ…」
智くんが、悲しむ…!
顔を手で覆った。