第8章 インディゴ scene1
雅紀のマンションにつくと、なぜだか雅紀が先に車を降りていった。
「しょ、翔ちゃんはゆっくりときてね?ねっ?」
そう言って、一目散に走っていった。
しょうがないからゆっくりと歩いて雅紀の部屋に行った。
玄関でインターホンを押すと、ドタバタと音が聞こえて、がちゃっとドアが開いた。
「いらっしゃーい!」
「ぶっ…」
「え?」
「おま…どうやったらそうなるんだよ…?」
「え?え?俺、なんかおかしい?」
「鼻の頭…」
「えっ!?」
慌てて拭って、がっくりした顔してる。
なにか黒いものが付いていた。
タバコの灰。
マンガみたいに、鼻の頭に擦ったようについていた。
「あれ…?お前、タバコやめたんじゃなかったの…?」
「あ…リーダーが吸うんだよ」
「え…?」
「ん?うちに、よく来るんだよ?」
「あっ…ああ…そうだよな…」
付き合ってるんだもんな…
「入って?翔ちゃん」
ニコニコ笑って雅紀が先を歩く。
久しぶりに入る、雅紀の家。
浜松町から引っ越して、すぐに一回だけ遊びに来たけど、それ以来だな…
あ、雅紀の匂いがした。