第8章 インディゴ scene1
訳が分からず、寛ぐこともできずそのまま収録を終えた。
何で…?
雅紀と智くんはつきあってるんじゃないの…?
楽屋に帰ってくると、雅紀が俺のほうに近寄ってきて、トンと肩を叩いた。
「翔ちゃん。今日、この後時間ある?」
「あ、ああ…」
ついに来たかと思った。
どうしよう。
どう言えばいいんだろ。
智くんはこの後、別で収録があって、もう楽屋には居なかった。
「俺、今日車だから、乗っていきなよ」
雅紀の笑顔は、裏になにも隠れていなくって。
何を話されるのかと、どきどきしながら車に乗り込んだ。
「どこいこっか?翔ちゃん」
心なしか、声がうきうきしている気がする。
「ん…どこでも…」
「じゃあ…俺んちくる?」
「えっ?」
「あっ…ごめん!いきなりすぎるよねっ…最初から…」
最初から…?
「もっと、ロマンチックなとこがいいよね」
ろまんちっくなとこ…?
「あっ…ごめん!なんでもないっ…」
一人で百面相をしてる雅紀が、よくわからなくて…
「えっと。別にいいよ…?雅紀の家でも…」
「えっ…いいの!?」
「えっ…うん…」
雅紀は真っ赤になりながら前を向いた。
「じゃあ…行こうか…」