第8章 インディゴ scene1
「あっちいっ…!」
熱くて熱くて。
手を引いたら、それを掴まれて水栓まで引っ張られて、水をジャージャー掛けられた。
「ちょっ…智くんっ…」
「もうっ!だから危ないって言ったのに!」
ぷりぷり怒りながら、俺の手を冷やしてくれる。
優しいんだよな…この人…
「…智くん…大丈夫だから…」
「だめ。冷やすの」
「自分でできるからさ…」
「だめ。どうせ途中でやめちゃうくせに…」
なんでわかるんだろ…
「翔くんのことなら、わかるよ?」
腕を掴まれてるから、いつもじゃありえない距離に居た。
じっと智くんが俺を見つめる。
恥ずかしくて目を逸らした。
でも執拗に智くんは俺を見てて…
「なに?」
って聞いた拍子に顔を見たら、とても真剣な顔をしてて。
「翔くん…」
そう、囁くように呟いたと思ったら、唇が重なった。
また、何が起こっているのかわからなくなった。
「ん……」
智くんの服を掴んだ。
すがるような格好になって、思わず抱きついた。
智くんの身体が熱いのか、俺の身体が熱いのかわからないけど、とにかく熱かった。
「翔くん…」
また呟いたかと思ったら、俺をぎゅうっと抱きしめた。