第8章 インディゴ scene1
部屋の鍵を開けさせられて、中に入ると、無理やり服を脱がされてパジャマに着替えさせられた。
具合悪くないって言ってるのに、無理やりベッドに寝かされた。
「俺、なんかご飯作る!」
雅紀がはりきって腕まくりをした。
「翔くん、良かったね。なに食べたい?」
「だから…もう、大丈夫だから…」
「だめだよ?翔くん…大事にしないと、明日の仕事に響くから」
いつもサボりたいって言ってる人がいうことかよ…
それなのに、なんだか俺は甘えたい気分になって…
雅紀が台所を漁って、なにか作る準備を始めた。
智くんにメモを渡して、智くんは買い出しに行った。
「翔ちゃん、寝てていいよ」
寝室のドアから顔だけだして、雅紀はバタバタと台所に行ってしまった。
ぽつんと残された俺は、淋しくなった。
そっと寝室から出て、リビングに行く。
台所で何かしてる雅紀をそっと覗いた。
手際よく、飯を作り始めるところだった。
「雅紀…」
「えっ!?翔ちゃん!」
驚いて、雅紀が顔をこちらに向けた。
「あっ…痛っ…」
包丁で指を切った。
「ごめん!」
慌てて近寄って、左手を取った。
人差し指に血が滲んでたから、思わず咥えた。
雅紀が驚いて目をまんまるにした。
あ、やべ…
ヘンなヤツだと思われたかな…