第8章 インディゴ scene1
「どうしたの?翔くん…」
「そうだよ…なんか、怒ってるの?」
「別に…」
さっきのキスを見てしまって、気分が変わったのは確かだった。
なんで言ってくれないのか、とか後から後から湧いてきて。
完全に八つ当たりだ。
「ごめん…少し、酔ったのかな…」
「だめだよ…俺たち帰ろうか?」
「そうだよ、今日は帰るね?」
それは嫌だ。
一人にしないで欲しい。
でも…
二人が付き合ってるなら、俺は完全に邪魔者だし…
答えられないでいると、智くんが俺の額に手を当てた。
「熱はないみたいだけど…」
俺を覗きこむ瞳がとても綺麗で。
思わず目をぎゅっと瞑った。
これ以上見てたらキスしそうだった。
…って、また何を考えた!?
「翔ちゃん…?大丈夫?」
雅紀も俺の肩を掴んで、顔を覗きこむ。
やめろ…
肩、熱い…
突然、智くんが俺の手を掴んだ。
「とにかく、部屋いこう?」
俺の手を引っ張って歩き出した。
「さ、智くんっ…」
「具合悪いなら、遠慮しないで言わないと…翔くん、水臭い」
ちょっとプリプリしてる。
水臭いのはどっちだよ…
雅紀が俺の手から荷物を取り上げた。
「俺、持つから」
なんだよ…
無駄に優しくするなよ…二人とも…