第1章 しあわせはここにある-parallel-
「俺…精一杯あなたを抱くよ」
そういって、俺は大野さんに覆いかぶさった。
「だから、あなたは俺に溺れて…全部忘れて?」
大野さんの目からまた涙が落ちた。
「忘れさせてあげるから…」
「無理しないで…俺を抱くなんて…」
俺は大野さんの髪を撫でながら、子供に言うように言葉を続ける。
「無理なんかしてないよ。俺があなたを抱きたいんだよ…そりゃ…ヘタクソかもしれないけど…」
「なんで…?」
「だからあなたのことが好きなんだよ。俺は」
まだ高校生だけど。
俺と対等で居てくれるあなたが。
なんでもできるくせに、決して驕らないあなたが。
そして、皆を愛してくれるあなたが。
「今だけでいいから…俺のこと、愛してくれない…?」
「ニノ…」
「やっと、名前呼んでくれたね…」
微笑みかけると、ますます泣いた。
「もう二宮くんなんて呼ばないで…」
そう言ってキスをした。
「名前で呼んで…」
「かず…」
「うん…」
「かず…?」
「うん…?」
「かず、なり…」
「うん」
ぎゅっと抱きしめた。
「愛してる…大野さん…」
そっと、首筋に舌を這わせた。