第7章 虫襖-ムシアオ-
でも…
雅紀に汚されたはずなのに、むしろ俺は、浄化された。
目が覚めた時、とても穏やかな気持ちで…
「ニノ…ごめんね…大丈夫?」
そう微笑みかけてくれる雅紀の胸で、俺の心はとても平静で…
「雅紀…」
呼びかけると、額にキスしてくれて…
「ニノ…愛してる…」
俺の心に溜まったヘドロが溶けていくようだった。
「ごめんね…俺、誤解してて…」
そういうと唇を噛み締めた。
「お客さんなんだもんね…翔ちゃん…」
俺の髪をさらさら撫でる。
「ニノじゃないとだめっていうなら…しょうがないよね…」
自分に言い聞かせるように言葉を紡ぐ雅紀をじっと見てた。
「俺も…がんばるから…だから、借金早く返そうね…?」
そう言って俺を優しく抱いた。
そのぬくもりが気持よくて…
俺は、また眠りに落ちた。
雅紀…
雅紀…好きだよ…
ずっとそばに居て…
俺の傍に…
それから、穏やかな日々が続いた。
俺は雅紀へ客を回すのを徐々に減らした。
最後に俺もやめて、それから雅紀に気持ちを伝えようと思った。
本当の気持ちを。
俺の赤心を。