第7章 虫襖-ムシアオ-
あれから15年の歳月が流れた。
父さんの借金はなんとか返すことができた。
嵐が売れるようになって、やっとまとまった金を用意することができたからだ。
事務所からも借金をした。
ケチケチ生活してたお蔭で、今では母さんにも余分に金を渡すことができてる。
それでも、俺は雅紀にウリをやらせてた。
たまに俺もやった。
今でも借金を返せてないって嘘を言って。
それは、あの時感じた雅紀への愛を否定するもので。
こうしていないと、愛してしまいそうだった。
だから、俺は雅紀を汚し続ける。
そして俺も汚れ続ける。
これが俺が自分に下した、罰。
そして、俺を離さない雅紀への罰。
俺と一緒に堕ちてくれない雅紀への罰。
いつまでも綺麗なあいつへの罰。
「あっ…ニノ…ちょうだいっ…」
「気持ちいいの…雅紀…」
「いいっ…ニノのじゃないとやだっ…」
「畑中さんと、どっちが気持ちいいんだよ…」
「そ、んな…ニノに決まってっ…」
言い終わらないうちに、雅紀の中に入った。
強引に捻じいる。
「ああああっ…」
靭やかな身体を仰け反らせて、歓びを露わにする。
「この…淫乱…」
冷たい目で囁くと、ビクンと身体が震えた。