第6章 きみどりscene3
智が、笑った俺の顔をぼーっと見てる。
「どうしたの?」
「かず…今日も俺の家くる?」
「ん。行ってもいい?」
「いいよ…っていうかさ…」
「ん?」
「もう、住んじゃえば?」
「え…?」
照れくさそうに下を向いた。
「いつも…一緒に居たい…」
小さな声で言うから、胸がきゅうとした。
「う…ん…」
「えっ…」
「なっ…なによ。自分で言ったんでしょ!?」
「ほ、ほんとに…?」
「いっ…いいよ」
がばっと抱きつかれた。
「ちょっとっ…」
「かずっ…嬉しいっ…」
叫ぶように言うと、俺の腕を取って走りだした。
「ちょっ…待って…」
「そうと決まったら、おまえんち行こう!」
「え?なんで?」
「荷物、もってこよ!」
「だって…アンタ…!」
「早くっかずっ…」
もう…足はやいんだよ…あんた…
引きずられるように事務所の車に詰め込まれて、ぎゅうっと手を握られた。
「かず。今日からよろしくね」
気が早い…
「もう…わかったよ…」
キャップのツバをぐいっと下げて、照れた顔を隠した。