第6章 きみどりscene3
スタジオ収録の前に、かずにこそっと耳打ちする。
「今日は翔ちゃん、面白いことになるからみててみ?」
「え?なに?」
こしょこしょと、媚薬のこと言ったら、笑い出して止まらなかった。
「お前もたいがい鬼だよな…」
「だって、あの人、俺達で実験したんでしょ?なら、当然だよ」
ふふんと笑うと、ちゅっとキスをした。
「おまっ…」
慌てて回りを見渡すけど、誰も見てなかった。
「ちゃんと回り見てるよ…バカだな…」
そういうと、皆に見えないように手をぎゅっと掴まれた。
「さと…好きだよ…」
「うん…俺も…」
見つめ合ってたら、収録が始めると言われて、手を繋いでスタジオに入った。
観客席からキャーっと声が聞こえる。
いいだろ。
俺、かずの彼氏なんだぜ…?
羨ましいだろ、お前ら。
世界中に叫んで回りたい気分だった。
かずを見ると、俺の方を見てた。
微笑むと、手を外して翔ちゃんの隣に立った。
なにかこそこそ喋ってる。
喋ってるうちにスタンバイの声が掛かって、定位置に立つ。
「ね。何言ってたの…?」
「ん?勃ってるよって言っといた」
翔ちゃんを見たら、必死で前かがみになってた。