第6章 きみどりscene3
二人でゆっくり湯船に浸かりながら、本当にくだらない話をした。
最近発売になったゲームの話。
釣り船の船長の話。
さいとうくんの話。
腰痛の話。
年をとったねっていう話。
話してるうちに気づいた。
もう、俺たち人生の半分以上の時間を一緒に過ごしてる。
こんな長い間、ずっとそばに居てくれた人たちは、嵐が初めてで。
ここにいてもいいよって場所を一緒に作ってきた仲間で。
親友で。
智は、恋人で。
かけがえのない存在で。
俺が生きてきた証で。
そう思ったら、急に泣きそうになって。
慌てて顔をお湯で流した。
「かず…?どうしたの?」
智がいうから、顔から手が外せなくなって。
「なんでも、ない」
ちょっと詰まりながら答えたら、ゆっくりと手を外されて。
じっと目を見られて。
「なんで泣いてるの?」
真剣な顔で訊かれたら、もう我慢ができなくなって…
「大事…なの…」
「え?」
「みんな、大事…嵐のみんなが…」
ちょっとびっくりした顔をしてから、すぐに微笑んで。
「うん…わかってる…」
そっと俺を抱き寄せた。
「大事に、していこうな…」
ゆっくりと、温かい声が聞こえた。