第6章 きみどりscene3
智のマンションに帰る。
近くでおろして貰ったら、智と手を繋いで歩いた。
なんだかそうしたかった。
「ね、智…」
「ん?」
「やきもち、焼いてくれたの初めてだね」
「ん…」
「俺、しょっちゅうやきもち焼くのに、あなた全然だからさ…そういう感情のない人かと思ってた」
「そんなことないよ…」
「でも、嬉しかった…」
ぎゅっと繋いだ手に、力が入った。
「俺のこと、本当に好きなんだって思えた…」
語尾が消えていく。
泣きそうなの、わかっちゃうかな。
「好きに決まってんだろ…」
ぶっきらぼうにいうと、繋いだ手を引き寄せた。
肩がことんとぶつかった。
夏用のニット帽が、少しずれた。
智の手がそれを直すと、にっこりと微笑んでくれた。
そのまま二人で寄り添うように、マンションまで歩いた。
一歩、一歩。
二人で歩く時間が、幸せだった。
部屋に入ると、智が荷物を置いて風呂を入れに行く。
俺は軽く晩酌の準備をするため、キッチンに入った。
準備をしていると智が戻ってきて。
キッチンの入口で俺を見つめた。
そんなに見るなよ…
すぐしたくなっちゃうだろ…