第6章 きみどりscene3
それから、収録は何事も無く終わって。
いつもどおりになった俺たちを、みんなニコニコして見てた。
楽屋に帰ると、からかわれるかと思ったけど、みんないつもどおりで。
翔ちゃんが帰り際、俺のほうに寄ってきて手招きするから、楽屋の外までついていった。
「ね、智くん。これ…」
なにか紙袋に入ったものを手渡す。
「なに?これ」
「あけてみ」
開けると、中には小さな小瓶。
「ん…?」
「これね…」
俺の耳に口を近づけて囁いた。
「……」
「えっ…」
「じゃ、ニノとちゃーんと仲直りの仕上げしなよ?」
翔ちゃんは、いたずらっぽく笑うと、そのまま楽屋に消えていった。
「えー…まじで…?」
こんなもの、手にするの初めてだった。
でも…
なんだか知らないけど、ちょっと興奮してた。
楽屋に入ると、まっすぐかずのところに行った。
「ね。今日、俺んちくる?」
「あ、うん。そのつもりだよ」
「わかった」
そのまま、翔ちゃんをみたら背中が震えてた。
…絶対笑いをこらえてる…
でもいいや。
せっかく翔ちゃんが、仲直りの仕上げにってくれたんだから…
恥ずかしくなんかないもん。