第6章 きみどりscene3
収録中も、ちっとも俺の方見なくて。
相葉さんが俺たちの間に立って、オロオロしてる。
流石に収録に入ると、いつもどおりになるんだけど、カットがかかって前室にはけると、途端に押し黙ってそっぽを向いている。
「ねえ…ニノ…どうしたの?」
こそこそと聞いてくる相葉さん。
「わかんないの…」
「だって。あんなリーダー初めてみるよ…?」
「俺だって初めてみるよ」
「初めてのケンカしたの?」
「だから、俺にはケンカした覚えなんかないの!」
思わずちょっと大きい声が出てしまう。
ゲストの皆さんがこっちを見てて、苦笑いを返しておいた。
相葉さんが俺の覆い隠すように、身体をずらしてくれた。
壁に肘をついて、話しかける。
「ね、ちゃんと聞いたの?」
「聞いたよ!決まってんじゃん」
「もう一回、ちゃんと聞いてみたら…?」
「だって…目も合わせてくれないんだよ…?」
相葉さんが身体をひねって、智を見る。
智はこっちを見てた。
じーっと。
暫く目があったけど、またぷいっと顔を逸らして、前室から出て行った。
「ほら、ちゃんと話しておいで?」
優しく相葉さんは背中を押してくれた。