第6章 きみどりscene3
「え…?」
「どうしたの?リーダー」
「や…ちょっとわかんない…」
「なんか怒ってなかった?」
「やっぱり…?」
「うん…そう見えたけど…」
潤は手についたコーヒーをぴっぴと飛ばした。
「まあ、とりあえず楽屋もどってみようぜ」
「うん…」
楽屋に戻ると、智はいなくって。
収録寸前まで戻ってこなくて。
戻って来ても、俺のほうみなくて…
「ねえ、どうしたの?」
「…なんでもない…」
目を見てくれない。
スタスタとスタジオに向かって一人で歩いて行く。
「ねぇっ…」
呼びかけたけど、何も答えてくれなくて…
「ちょっと…どうしたの?ニノ」
翔さんが俺の肩を掴む。
「わ…わかんな…」
思わず泣きそうになった。
「わっ…ちょっ…今は泣いちゃダメ」
翔さんの手が俺の頬を包んだ。
「収録終わるまで、我慢ね?」
「うん…」
翔さんに促されて、スタジオに向かおうとしたら、廊下の先で智が立ち止まってじっとこっちを見てた。
暫く目があったけど、またぷいっと顔を逸らして歩いて行ってしまった。
どうして…?
なんで急にこんなことするの…?