第1章 しあわせはここにある-parallel-
ニノの強い言葉に驚いた。
ますますこのまま居たらダメだと思った。
汚したくない…誰も。
身を捩ってニノの腕から逃れようとしたが、力が強くて外せない。
入院生活で体力がないし、筋力も落ちた。
ニノの腕から逃れられなかった。
「やめろ…離せ…」
声に力が入らなかった。
「いやだっ!」
ニノが更にぎゅっと俺に抱きついた。
「気持ち悪い?俺が…」
「気持ち悪くないよ…でも、ダメだ…俺に触っちゃ…」
「…なんで?」
「俺は…汚いから…」
ニノの目が大きく開かれた。
そのまま、怒りの表情になった。
かと思ったら、俺は床に押し倒された。
ゆっくりと天井が見えた。
「汚くなんか…ない…」
そう言うと、ニノは俺の唇にキスを落とした。
「……!」
俺はそれを振り払おうとした。
でも抑えこまれてできなかった。
唇を強引に引きはがす。
「な、なにすんだよっ…!」
「汚くない…むしろきれい…」
「…え?」
「大野さん、きれい…」
そう言って、俺のシャツのボタンに手をかけた。
一個一個外されていく。
不思議と恐怖はなかった。
ニノにキスされていやじゃなかった。