第1章 しあわせはここにある-parallel-
「三鷹まで、電車で行ったんだ」
「…そっか」
ニノはニコニコしながら部屋のカーテンを開ける。
眩しかった。
「ここにあるもの、メンバーの皆が持ってきたものだから。遠慮なく使ってね」
「え…?」
よく見ると、生活がひと通りできそうなくらいのものが部屋のあちこちにもうセットされてる。
大きな家具はもともと置いてあったものだが、一時的なものとおもっていたから細々としたものまで気が回ってなかった。
皆はそれを見越して、用意してくれたんだ…
「ありがと…」
キャップを目深にかぶると、礼を言った。
「いいって…」
カーテンを握りながら、ニノがこちらを振り返る。
綺麗だった。
汚い俺が、触っちゃいけない人だった。
「にの…みやくん…」
「え?」
そう思ったら、気軽にニノなんて呼べなかった。
「学校は…?」
「…創立記念日…」
「そっか…」
二宮くん、なんてジュニアの頃以来だ。
多分、ニノが入ってきた時以来。
距離を置きたかった。
汚い俺に触れないように。
「学校、行きなよ」
どうせ嘘だと思った。
よくニノは学校をサボるから。