第1章 しあわせはここにある-parallel-
大野side
あの日の皆の言葉が、頭の中でぐるぐる回ってる。
全て無かったことになんてできない。
消えてしまいたい。
でもそうしたら、あの子らが悲しむ…
もう考えるのが嫌になって、また真っ白になろうとしても、あの言葉が蘇ってくる。
皆の言葉…
皆の気持ち…
まだ未成年のあの子たちに、こんな思いを貰えるなんて。
気が付くと泣いていた。
まだ、身体の中に涙があるのが不思議だった。
もう枯れたと思っていたのに。
とっくに。
その日から、俺はご飯を食べられるようになった。
なんの整理もついてなかったけど、とにかく身体が食べ物を欲した。
それから一週間で、俺は退院することになった。
ご飯が食べられる患者は健康なんだそうだ。
マネージャーに送られてる最中に、色々話を聞いた。
アイツらが逮捕されたこと。
皆が仕事頑張ってること。
待ってるって言ってくれてること。
俯いて聞いていたら、また涙が滲んだ。
皆の顔が次々と浮かんでは消えた。
皆、泣き顔だった。
あの日見た泣き顔。
笑って。
笑ってよ、皆。