• テキストサイズ

カラフルⅡ【気象系BL小説】

第1章 しあわせはここにある-parallel-


大野さんの目が大きく見開かれた。


ガタガタと震えだした。


点滴の針を乱暴に引き抜くとベッドから降りようとした。


でも足に力が入らないのか、そのまま床に倒れ込んだ。


「大野さんっ…」


駆け寄って起き上がらせようとすると、手を振り払われた。


「だめ…だめだって…」


「え…?」


「触っちゃだめ…汚い…」


ぶるぶる震えて床に座り込んで両手をこすりあわせてる。


「汚いから…皆、俺に触っちゃだめ…」


ぼたぼた涙が零れて、床を濡らしている。


「だめ…だめだよ…皆、きれいなんだから…」


まだこの人は苛まれてる。


自分の罪じゃないのに。


なにも問題は解決してない。


むしろ傷は深まってる。


「あ、あ…取れない…取れない…」


麻薬中毒患者のように、大野さんは見えない手の汚れを落とそうとしている。


俺はそっとその手を握った。


ものすごい力で振り払われたけど、何度も手を握った。


そのうち相葉さんも手を握った。


大野さんが相葉さんを振り切ると、俺が握る。


翔さんも、潤も来た。


ずっと皆で大野さんの手を握った。


そのうち振り払う力が尽きて、大野さんの手は、皆に包まれた。


大野さんははらはらと涙をながしながら、意識を失った。
/ 1015ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp