第5章 レイヴンscene2
翔を浴槽から引っ張りあげると、ぎゅうっと抱きしめた。
「翔、ベッド行こうね?」
頬を染めて、恥ずかしそうに頷く。
「今日は気持ちよくしてくれたから、乱れさせてあげる…」
耳元で言うと、小さく悲鳴を上げて俺の身体に倒れかかってくる。
翔は感じすぎると、足の力が入らなくなるんだ。
それがまた愛おしい。
俺の言葉で、俺の手で脱力して乱れる翔が愛おしい。
そして、気持ちいい…
お風呂から上がると、ワインを取り出して乾杯する。
帰りに差し支えない程度に飲むのも、俺達の習慣で。
翔が予約の時によく冷えた白を頼んでおく。
今日のは甘くて、後味がすっきりしてる。
「ね…翔。いつも俺ばっかり翔にお願いしてるから、今日は言うこと聞いてあげるよ」
「え…?」
翔の手から、グラスが落ちそうになる。
「あぶないっ…」
慌ててグラスごと手を掴む。
少し手が震えてる。
「…翔?」
「なんでも…いいの…?」
「え…?」
「なんでも言っていいの…?」
その声は、震えてて。
瞳をみると、涙が今にも溢れそうに盛り上がってて。
「わがまま言っていいの…?」