第4章 灰紫
「気持よかったでしょ…?いつもこいう風にしてくれたよね…翔…」
なにも答えずに、荒い息をついてる。
目からまた涙がこぼれ落ちた。
横を向いて、口を固く閉じて。
またローションを手に取ると、俺は自分で扱いた。
固くなると、翔の後ろにあてがった。
「翔…どんな気分?…俺にヤられるってさ…」
翔はぎゅっと目を閉じた。
「昔、さんざん嬲ってヤリ捨てにした男にヤラれるってどんな気分?」
「……違う…」
翔が小さく震えた。
「あの時は…少なくとも、そんな気持ちじゃなかった…」
「でも、好きでもなかったでしょ?俺のこと」
ぐっと少しずつ腰を進める。
「うっ…あ…」
翔が呻く。
「智のことしか、見えてないもんね。昔も…今も…」
キツイ…
けど、熱い…
先が溶けそうだった。
「俺はそれでも…好きだったのに…」
今更言うことじゃなかった。
でも、あの時の俺は言えなかったんだ…
翔に、恨み言の一つも。
それを今、言ってもなんにもならないけど…
「潤っ…ごめ…ん…」
「聞こえない」
そう言うと、俺は翔の最奥を穿った。
「ああああっ…やめろっ…」