第4章 灰紫
わざと翔に見えるようにゆっくりとローションを指に垂らす。
翔を巻きつけてるシーツに、少し溢れる。
じわっと染みが広がる。
涙みたいだ…
翔の足を開くと、まだ誰にも触れられたことがないであろうそこに、ゆっくりと指を当てる。
「やめろよっ…やめろっ…」
まだ暴れる身体を押さえつけながら、ゆっくりとそこをほぐすように撫でる。
「やっぱり…初めてだよね?」
それには答えないで、凄い目で俺を睨む。
「バージン…」
そう言ってみたら、笑いが湧き起こる。
堪えられないで、小さく笑い声を立てた。
「笑ってんじゃねえ…」
低い声。
真顔になって顔を見ると、翔も視線を逸らさない。
「あんたは、俺のことこういう風にシたんだよ…?自分のやったこと、返ってきてるだけじゃないか…」
そういうと、驚愕した。
わかってなかったのかよ。
自分のやったこと。
ホント、智のことだけしか見えてないんだな…
今も、昔も。
ぐいっと指を中に挿れる。
「ああっ…」
翔の身体がしなる。
「やだっ…潤やめろっ…」
泣きながら言うけど…
やめないよ?