第4章 灰紫
「智…」
いつの間にか、潤がシャワーから上がってきてた。
「あ…潤…」
とっさに涙を隠した。
「泣いてるの…?」
「ううん…なんでもない…それより、ごめんね…」
「なに謝ってんだよ…今回のことは、俺から望んでしたことだから…」
「でも、俺…潤とする気なんて…」
「言うなよ…俺は…好きなんだ…」
「でも…潤。俺はそれには応えられないから」
きっぱりと言うと、潤の瞳が揺らいだ。
「ごめん…わかってる…」
「それに…」
「え…?」
「潤、翔ちゃんに抱かれたろ…?」
「え…」
「ごめん…俺、嫉妬してる…」
潤の顔が見れなかった。
「智…ごめんね…俺、傷つけるつもりじゃなかったのに…」
「いいんだ…教えてくれてありがとね…俺も風呂入ってくるから…」
そういうと、翔ちゃんに布団を被せて俺はシャワーへ行った。
潤を振り返ると、寝室の入り口で立ち尽くしてた。
その後姿を振り切るように、俺は浴室へ入る。
ごめん…潤…
ごめん…
俺が好きなのは、翔ちゃんだけだから…