第4章 灰紫
「ねぇ…智くん…今日はね、怖がらせたお詫びを用意してるんだ…」
「え…?」
「お風呂から上がったら見せてあげるね?」
少し怯えた目をした。
また、俺の中が暴れだす。
その目が、堪らないんだって…
ちゅっとキスすると、少し安心した目をする。
「翔ちゃん…」
俺に全てを委ねて安心しきった顔をする。
俺はその顔をまた、歪めたい欲望に駆られた。
風呂から上がって、お互いの身体をふき合う。
おでこをつけて、目を閉じると智くんがふぅっと息を吐く。
「翔ちゃん…俺、翔ちゃんのこと、好きだよ…」
「うん…俺も…智くんが…好き…」
「だから…安心して…俺、どこにも行かないから…」
「わかってる…」
ぎゅっとタオルごと抱きしめた。
見えない羽が智くんの背中についてる。
俺は、それをへし折らないと安心できないんだ。
じゃないと、どこかへ行ってしまいそうで…
こわい…
「智くん…どこかに行ったら…」
「え…?」
「…なんでもない…」
ふいと身体を離して、キッチンへ向かう。
智くんは後をついてきて、冷蔵庫から水を出す。
ボトルから直接、コクコクと水を飲む。
両手でボトルを持ってる姿がかわいい。
にぎりつぶしたい。