第20章 グレイ scene2
「いっただきまーす!」
たくさん焼いたから、もう冷めてるのから、熱々のまで。
ふたりで黙々と切りながら食べた。
「さと、はい」
たまにかずが、器用に切った星形のホットケーキをあーんしてくれた。
「あーん」
ぱくっと食べると幸せの味がした。
「美味しい。かず」
「んふ…良かった…」
ついでに、んーっと唇を突き出すと、メイプルシロップ味のキスがくる。
一生懸命食べたけど、かずは朝はあんまり食べられないから、残った分はラップに包んで冷凍庫へ入れた。
「おやつできたね!」
「今日はもう食わねえよ…ゲップ…」
「きったな…」
苦笑いしながら食器を下げてくれた。
食洗機の動く音が聞こえたら、かずがキッチンから出てきた。
「ねえ、かず。今日どうする?」
「そうだねえ…どうしよう?」
冷めたコーヒーを飲みながら、なにもいい案が浮かばない。
外に出るのも、なんだか億劫だし。
でも二人で休みなんて、こんな貴重な事ないし…
そんなことをぼけっと思ってたら、ダイニングのイスなのにかずが俺の隣に座ってきた。
じりじりとお尻で俺を端に寄せ、ついに座面に座ってしまった。
「狭い…」
「むふ…」
そう言って俺とくっついて、同じように残ったコーヒーを飲み始めた。