第20章 グレイ scene2
ベッドから居間に新しく置いたソファに移動する。
ここにはさっき、智が脱ぎ捨てた服が掛かってる。
そっと手にとって匂いを嗅いだ。
ふんわりといい匂い。
智の胸に顔を埋めると漂ってくる香りが、俺の性欲を刺激した。
智は帰ってくる気配はない。
おまけにここのところ、智は残業が続いててロクにその…致していないから…
それもあって、お互いイライラしてたんだと思う。
ソファに座って、Tシャツの匂いを嗅ぎながらそっと自分に触れた。
「んっ…ぁ…」
それだけでビクンと身体が勝手に跳ねる。
我慢できなくて、ズボンのボタンを外してファスナーを下げた。
下げるのももどかしくて、パンツの中に手を突っ込んで、直に俺を握りこんだ。
「あっ…あー…やば…」
智の匂いと、自分の手の刺激で腰も勝手に動く。
「んっ…んっ…さと…智…」
智の匂いが、俺の脳裏にはっきりとアノ時の智を描いていた。
額に光る汗。
俺を見つめる切なげな瞳。
薄い唇から漏れる吐息。
褐色の肌を滑っていく汗。
「あぁ…ん…智…抱いて…」
快感に耐え切れず、ソファの上で丸まっていく。
手の動きだけは止められない。
Tシャツを鼻に当てたまま、俺は目を閉じて快感に没頭した。