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【赤葦京治】炉辺歓談 【短篇集】

第2章 《君に捧ぐ》


《君に捧ぐ》

例えば、僕が君に「付き合って」と言ったら、君は「勿論」と応える。

例えば、僕が君に「キスをして」と言ったら、君は少し恥ずかしそうにしながらも、「勿論」と応える。

例えば、僕が君に「抱き締めて」と言ったら、君はふわりと笑い、当然の様に「勿論」と応える。

君の僕への愛は、どのくらい深いのかな。

とてもとても従順な君。

僕の言うことは何でも聞き入れてくれる君。

思い出してみれば、君に断られた事など1度もなかったね。

無茶なお願いをしていないという事が前提にあったとしても。

何よりも僕を優先してくれた君。

ものごころついた頃には、既に君を愛していた。

僕の傍においておきたくて、いつも君に何かお願いをする。

そんな僕の勝手なお願いに、全て応えてきた君。

好きだよ。

愛してる。

だからね。今回は少し、無茶なお願いをしてみようと思ってるんだ。

君の僕への愛は、とてもとても深い筈でしょう?

君も、僕を愛してくれているでしょう?

だから、いいよね。

さいごのお願いなんだ。
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