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【赤葦京治】炉辺歓談 【短篇集】

第4章 《ご飯粒》


16年間生きてきて、私は初めて「大食い」というものを見たきがする。

「赤葦さん、その辺にしといた方が…」

「はんへ(何で)?」

「いやぁ…その…」

ーーーそれは、梟谷学園グループ+烏野合同合宿3日目、体育館清掃が終わり、お昼ご飯時の事だった。

昼食は、バレー部員のお母様方とマネージャーのお手製お弁当である。

育ち盛りの男子高校生の胃袋とは凄まじいもので、体育祭等の行事でしか使わないような、大きなお弁当箱…重箱だろうか?そこにぎゅうぎゅうに敷き詰められた大量のおにぎりとおかずが瞬く間に無くなっていく。

その中でも群を抜いて胃袋ブラックホール男が1人。

胡座をかいた足の上に例の弁当箱を丸々一つ乗っけて、両手に持ったおにぎりを美味しそうに頬張っている。

挙句の果てには、彼の横にはもう一つ弁当箱が置いてあり、ちゃっかりキープまでしている始末だ。
流石に食べすぎではないかと声を掛けたのが、最初の会話である。

「凄く美味しそうに食べてますよね。そんな先輩にもう食べるなとは私も言いたくないんです。手作りのお弁当をそんなに美味しそうに食べてもらえるのは、作り手としても嬉しいですし。でも、流石にそれ以上食べて午後からの練習動けますか…?」

キープしているもう一つのお弁当箱に手を伸ばしながらこちらをみる先輩。

左右の頬をこれでもかと膨らませているその様子は、まるでリスだ。

男子高校生(しかも先輩)に対して使うのはどうかと思うが、可愛い。可愛すぎる。

返事をするために、口の中に入っているものを一生懸命噛んで飲み込もうとする彼。しかしそれが完了する前に我が梟谷学園バレー部エースが口を挟んだ。
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