第10章 邂逅
エミヤに言われ初は訳を写した紙を渡した。その紙を見ようと美希とジャンヌ・ダルクは脇から覗き込んだ。
「何だね?これは・・・」
「書いてある意味は分かりませんが、七人?いや最初と最後は同じ文なので六人が登場するのですね」
「意味が分からなくても、訳を見つけられただけでも凄い戦果だね。九条さんとは訳を調べるために会ったの?」
「いや、先生の話に出てきた鮎川という男の名前も覚えているか?」
初が美希に尋ねると無言で頷いた。
「その鮎川が柏で殺されたということを藤田から聞いて、もしかしたら他のメンバーも殺されていると考え、先生の日記を持っている拓なら分かると思って会った。図書館に行こうとしたのは成り行きだよ。LINEで知らせただろ?だから、お前やエミヤ、ジャンヌが知っているんだろう」
「そうだった(笑)」
「で、結局他のメンバーはどうだったのかね?殺されたのかね?」
「拓から日記のコピーを預かったから見てくれ」
初は拓実から預かった日記のコピーを渡した。初から日記のコピーを受け取り目を通すと三人の表情が一変した。
「こんな恐ろしいことがあったのでしょうか?」
「初と美希の先生が嘘をつくとは到底思えないのだが・・・。つまり、これは現実だ」
「ありえない・・・」
三人の感想を聞いた初は短くため息をつくと口を開いた。
「これは全て事実さ。先生を含めた六人中一人が儀式で死に・・・。六人?」
「初?」
初が急に口を閉じたので三人は首を傾げた。
「いや、偶然かも知れないが・・・あることに気が付いた。そのせいか、背中が冷たく感じるよ」
「何に気が付いたの、お兄ちゃん?」
「ジャンヌの言葉と先生の日記さ?」
「私の言葉・・・ですか?」
ジャンヌ・ダルクは身に覚えがないのか首を傾げた。初は無言で頷いた。
「ジャンヌが訳を見た時、六人の人物が登場すると言った。そして、先生たちのグループの人数も六人」
「人数が一致していますね」
「偶然の一致かも知れないが、無下にはできないな。この六という数字は君の先生の頼みを叶えるヒントになるかもしれないな」
「そうだな。だから、明日の葬式で拓と小悟狼に伝えることにしたよ」
初が言うと三人は頷いた。
「さてと、聞きたいことは聞けたから出るね」
「もし、聞きたいことがあるなら歩にも聞くといいよ」