第10章 邂逅
午後5時50分 土御門神社
『なるほどな・・・。土御門の妹が襲われたと』
『そうみたいだ。美希が言うには襲ってきた奴は催眠状態にあったらしい。催眠状態から覚醒すると口を揃えて、お爺さんに話しかけられたと言っている。犯人はその爺さんで間違いないと思っている』
初は自室で小悟狼と電話で話していた。その内容は美希が襲われたことである。被害者である美希、エミヤ、ジャンヌ・ダルクもいた。
『土御門の言う通り犯人は、そのジジイで間違いないだろう。オマケに例の箱を持っていることを知っていたのだろう?まぁ、それは催眠状態にある時の話だが。これでジジイがどういった人物かある程度掴めたぞ』
『本当か!?』
初の声に反応して三人も表情を変えた。
『あぁ。この件は明日話そう』
『明日?』
『その反応だと九条から何も聞いてないみたいだな。明日、先生の葬儀がある。お前も出席するだろう?その時に話そうと思っている』
『了解。ついでに今日オレたちが調べたことを報告するよ』
『あぁ、そうしてくれ。それと例の箱を持ってこい』
『箱か・・・分かった』
『また明日な』
『うん、明日』
初はそう言うと通話を終了させた。
「お兄ちゃん、どうだった?」
「明日、豊橋先生の葬式がある。そこで藤田と会い話をする。その時に金の箱を持ってくるように言われた。藤田は犯人の尻尾を掴もうとしているのかも知れないな」
美希が聞いてきたので初は説明した。エミヤとジャンヌ・ダルクは二人の話を聞いていた。するとエミヤが口を開いた。
「なるほど、金の箱を餌に犯人を釣ろうとしているな藤田 小悟狼は。君も犯人と遭遇する可能性がある十分に気を付けろよ。それと美希は明日の葬式は欠席させる」
エミヤの言葉を聞き初は数秒考え口を開いた。
「分かった」
「ところで初さん。今日は調べに行かれて何が分かりましたか?とても気になります」
「一番は金の箱の翻訳ができたことかな。信じ難いかもしれないけどムー大陸とも繋がりがあるみたいだ」
「ムー大陸!?あの伝説的な?」
「美希知っているんだ!?」
美希が知っていることに対して初は驚きの声を発した。
「ゲームの話で知ったよ」
美希が不貞腐れ気味で言ったので初たちは苦笑した。
「私は肝心な訳が気になるのだが・・・訳はなんと?」