第9章 図書館にて
「もちろん、忘れてないよ」
「あの~。最後に俺が残っているんが説明していいかね?」
「あっ、ごめん拓。説明を頼む」
「俺は日記に出てきた『妖蛆の秘密』について調べてみたが・・・閲覧するには教授の許可が必要で日曜日の午前中にしか会えないそうだ」
「教授の許可ですか・・・。とても重要な本ということでしょうか、九条さん?」
「マシュの言う通り、とても重要な本で間違いないと思う。本来であれば、何としても見たかったが致し方ない」
「ここでやるべきことはやった・・・。残るは先生たちが儀式を行った農家に行くしかないかもな」
初が独り言のように言ったことは全員の耳に入り色々な反応が飛び交った。
「兄貴それは危険じゃないのか?」
「だよな・・・」
歩に言われ初が考えを改めようとした時だった。
「いや、初の考え方はありだと思う。危険は重々承知だ。逆に『妖蛆の秘密』を閲覧できる日曜まで何もせずに過ごすよりは遥かに有意義だと思う。それに『妖蛆の秘密』が100%閲覧できるとは限らないしな」
「初、私は貴方の判断にお任せします。貴方なら道を間違いのない判断ができる筈だ」
「騎士王の言うとおりだな。何故ならば、そなたが余の伴侶となるからである!!」
ネロが満面の笑みで自信満々に言うと初は少し恥ずかしそうに俯いた。
「そこ~。図書館内ではイチャつかない~」
拓実が呆れた感じで言うと初は顔を上げて苦笑をした。
「・・・。分かった、農家に行くとしよう。歩はどうする?
「俺は・・・」
歩は迷っている様子だった。
「歩先輩。私は先輩のサーヴァントです。どんな結論を出そうとも従います」
「マシュ・・・。うお!?」
その瞬間、歩は奇声を出してしまった。モードレッドに急に背中を叩かれ驚いたからである。
「らしくねぇぜ、歩?お前なら、もう答えが出てんだろう?オレはそれについて行くつもりだぜ」
「ありがとう、モーさん」
「おい、そこは普通モードレッドだろう?この馬鹿マスター・・・」
マシュとモードレッドと会話をし歩は答えを得たようだった。歩の顔には迷いが消え覚悟を決めた表情をしていた。
「いかにも覚悟を決めたって顔だな歩?」
「兄貴も覚悟は決めたのか?」
「決めたが・・・戦うための覚悟じゃない、今後の運命を全て受け入れる覚悟さ」