• テキストサイズ

Fate/Fantasy Of Cthulhu

第9章 図書館にて


それから、初は金の箱についての説明を続けた。箱の中には自分に奉仕させる霊が入っていること、実際は琥珀の塊だということ。

「琥珀は先生の日記にも出てきたな。その中に霊でもいるのか?先生の日記では琥珀から煙が立ち上ったようだからな」

「恐らく。で、ここまではあまり現実味がない話だが少しだけ現実味がある話をしよう。金の箱は長い間イギリスの貴族が所有していたが、1968年に盗まれて行方が分からなくなったようだ」

「1968年?九条さんが纏めた内容によると鮎川さんが金の箱を手に入れたのが1974年の2月ということなので・・・時期的にもずれているので犯人は鮎川さんではないようですね」

「マシュの推理は正しいと思うよ。俺の推理だと盗んだ犯人から鮎川がどんな手を使ったのか知らんが金の箱を手に入れた。そして鮎川は召喚の儀式をした翌年に殺されている。舌を切り取られているという状態で見つかった。殺したのは、盗んだ犯人だろう」

マシュと拓実の二人の推理に皆は納得した表情をした。拓実はマシュに微笑みかけた。

「マシュも名探偵だな。正直、驚いたよ」

「いえ、そんなことありませんよ。常識的に考えただけですよ」

「どうだ?高校卒業したら俺の助手になってみないか?まぁ、給料は多く出せないし・・・一部の人間から恨まれるけどな」

「嬉しいお誘いですが・・・私は歩先輩のサーヴァントです。マスターの下でサーヴァントとして戦う覚悟なので」

「そうか~。それは残念だな。歩はいい後輩をもったな。羨ましいぜ」

拓実がおどけた感じで言うと歩は苦笑した。

「九条さん、兄貴の話を聞きましょう。さっきからずっと待ってますよ」

「あっ、すまんすまん。初、続けてくれ」

初は眉間に皺を寄せていた。

「・・・。最後になるが康介が気になっている翻訳もあった。人数分翻訳箇所をコピーしといたからな」

初は一人一人に翻訳箇所のコピーを渡した。受け取った皆は色々な反応をみせた。

「これが本来、俺が訳す筈のものだったんですね。ありがとうございます、初さん」

「いや。肝心な意味も分からなかった上、箱のふた裏に彫られているものも分からなかったしな」

「初流石だ。この短い時間で金の箱について色んな情報を手に入れてくれた、ありがとう」

初は申し訳なさそうな表情をしていたのに対し拓実は称賛の声をかけた。

/ 105ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp