第9章 図書館にて
「なら、オレは鮎川の資料本を探す。アルトリア、ネロ、探すのを手伝ってくれ」
「はい」
「うむ。余に任せよ」
初、アルトリア、ネロは鮎川の資料本を探しに行った。
「九条さん。俺はマシュ、モードレッドと一緒に1974年の3月の新聞を見つけます」
「あぁ、頼む」
拓実が頷くのを確認し歩たちは新聞を見つけに行った。
「俺は引き続き金の箱について訳そうと考えているので、それに関する本を見つけたいと思います」
「了解」
康介も探しに行った。
「よし、皆に遅れないように調べますか~」
拓実な呑気に言いながら表情は真剣だった。そして『妖蛆の秘密』について調べることにした。
午後2時 東京大学総合図書館 初・アルトリア・ネロ
初たち3人はエジプト学の区画にいた。それは、鮎川が手に入れた金の箱はエジプトの物だといわれていることを資料本の記述と一致すると、拓実から見せてもらった紙に書いていたからである。
「本が沢山あって見つけ出すのが一苦労だな」
初は一冊一冊を手に取り丁寧に読んでいた。
「奏者よ、それでは日が暮れてしまうではないか。丁寧に読む必要はないと思えるのだが」
ネロは少し困った顔をしながら初に言った。それには初も苦笑した。
「尤もな指摘だけど、丁寧に読まないと見落とす可能性があるからな」
「それは、そうなのだがな・・・。もう少し融通というものをだな―――」
「来てください、初」
ネロの言葉を遮ってアルトリアが初を呼んだ。
「どうした、アルトリア?」
「これを」
初が首を傾げながらアルトリアに近づくと一冊の本を渡された。初は早速目を通した。ネロも横から本を覗いていた。
「これは・・・鮎川の資料本!?大手柄だ、アルトリア」
「いえ。初のお役に立てたのなら何よりです」
資料本には金の箱についての短い記述と挿絵があった。箱についてはほとんど何もわかっていないと書かれているが、学者はこれがノフルウ=カ(あるいはネフレン=カ)の持ち物だったと信じているようだ。ノフルウ=カについてはほとんど何も伝わっていないが、ただ、エジプトの第十四王朝のころに生きていて玉座を奪おうとした人物であるらしい。
「こやつは叛逆者か・・・」
「えぇ・・・。モードレッドと同じです」
「ははは・・・。でも、凄い遺物なんだな。素手で触ってしまったが」