第9章 図書館にて
男はャンヌ・ダルクに言われ、もう一度自分の行動を思い返した。
「・・・。あっ!!買い物が終わって帰ろうとしたら、爺さんに声をかけられた。そのあとのことは覚えてねぇが、気がついたら今の状況に至る訳」
『これは・・・催眠術の類か』
『そうかも知れませんね。先程とは違い、目には光りがあります』
『幾つか質問してみよう』
美希がエミヤとジャンヌ・ダルクと念話で話し合い真偽を確かめるために質問することにした。
「幾つか聞きたいことがありますが、大丈夫ですか?」
「あぁ、大丈夫だ。身の潔白を証明するため何でも答える」
「お爺さんに声をかけられたと言ってましたが面識はありましたか?」
「いや、今日初めて会った」
「お爺さんの特徴を教えてください」
「背はだいたい160前後で年は60から70といった感じ」
「まだ寝ている2人とも面識は?」
「ないよ」
「では、最後に一つだけ。金の箱と聞いてピンとくるものあります?」
「金の箱!?いや、全く心当たりがないが」
「そう、ですか・・・。ありがとうございます。もう、帰っても大丈夫ですよ」
美希が言うと男は去っていった。同様に目を覚ました2人に質問したら同じ返答だった。美希が質問している間、エミヤはメモをとりジャンヌ・ダルクは男を観察していた。
「全員の返答が一致しているな・・・」
「えぇ。それに彼らは嘘をついているようには見えませんでした」
「確かにね。そしたら・・・。お爺さんが一番怪しくなるね」
「この件は藤田 小悟狼と相談した方が賢明だと思える。彼は刑事であり事情を知っている一人だしな」
美希はエミヤの言葉に頷き初を通じて小悟狼に連絡することにした。そして、美希たちは帰宅した。
午後1時45分 東京大学総合図書館
初たち一行は東京大学総合図書館の付近のレストランで昼食を摂ることにしていた。レストランに入ると美希の彼氏である康介がいた。一緒に昼食をしながら話を聞くと美希に依頼され東京大学総合図書館にやってきたようだ。今は壁にぶち当たり悩んでいると、康介は自嘲気味に言った。そこで初は目的が同じだから一緒に調べることを提案したら康介は快く了承した。そして今に至る。
「取りあえず調べる物は・・・鮎川が見つけた資料本、金の箱の翻訳、『妖蛆の秘密』、そして1974年3月の新聞だ」