第9章 図書館にて
「しかも・・・仲間の死を隠蔽しているしな。リスクは相当な筈さ。だから調べに行くぞ」
拓実は急に立ち上がり言った。
「どこに?」
「東京大学総合図書館」
「今からか?」
「当然」
「道は分かるのか?」
「いや、分からん。だから初、案内を頼むぞ。大学のころ行ったことあるんだろう?」
拓実の言葉に全員が呆れ力が抜けた。初は苦笑しながら立ち上がった。
「相変わらずだな拓は。今から行くとなると・・・昼ちょい前に着く感じだな」
「そうか、なら着いたら図書館に寄る前に昼飯だな。よし、行くぞ」
拓の言葉に初は頷いた。歩たちも立ち上がり喫茶店を後にした。そして、駅から電車に乗り東京大学総合図書館を目指した。
午前10時半 柏の葉キャンパス駅周辺
美希はジャンヌ・ダルクとエミヤと共に柏の葉キャンパス駅にいた。保育園で必要な物や夕食の具材を買っていたのである。
「随分と沢山買いましたね、美希さん」
「そうだね。それだけ必要だからね。でも、夕食の具材の方が沢山買ったと思うよ?」
「そうだな。誰かとは言わんが・・・物凄く大食いの王様がいるからね。料理の腕を振るうには不足ない相手なのだが食費となると・・・敵わない相手でもある」
エミヤの皮肉に美希とジャンヌ・ダルクは笑った。それを見ていたエミヤも苦笑した。3人は他愛のない会話をしながら帰り道を歩いていた。不意にエミヤが美希に小声で話しかけた。
「美希・・・。尾行されている、後ろを決して振り向くな・・・。気付かないふりをしていろ」
「えっ!?」
「人数はこちらと同じ3人のようです。妖怪の類ではありませんが不意を突きましょう!!」
「了解した。次の角を曲がったところで待ち伏せしよう」
「う、うん!!」
美希は状況が上手く掴めなかったがジャンヌ・ダルクとエミヤの指示に従うことにし角を曲がった。そして、美希は電柱の陰に隠れジャンヌ・ダルクとエミヤは霊体化した。尾行している3人が角を曲がり美希たちを見失い戸惑って背中を見せた瞬間、姿を現した。
「随分と不粋なことをしてくれる。女性を尾行するなど、趣味が悪いなお前たち・・・」
「「「・・・」」」
「エミヤ、ジャンヌ。この人たち変だよ」
「美希さんの言う通りですね。意志のある人には到底見えません」
美希とジャンヌ・ダルクが言っていることは尤もだった。