第9章 図書館にて
「豊橋先生のグループの中に鮎川 稔という男がいたのを覚えているか?」
「当然、覚えてる。そいつが気になるのか?」
初は無言で頷き言葉を続けた。
「藤田から得た情報だが殺されているんだよ、この柏市で・・・」
「それは本当なのか、兄貴!?」
歩の疑問に対し初は頷いた。歩の顔には驚きの表情が浮かんでいた。同様に、この話を知らなかったマシュ、モードレッド、ネロも驚いていた。しかし、拓実は驚いていなかった。寧ろ、いつもとは違う冷静な拓実がいた。
「その様子だと当然知っているか・・・」
「豊橋先生の日記に新聞が貼っていて、それで知ることができた。かなり驚いたぜ、だって舌が切り取られていたからな」
「流石は名探偵。詳細まで知ってるとは・・・。まぁ、オレが聞きたいのは別のことだが先生と鮎川を除く残りの人たちはどうなっているんだ?亡くなっていることは知っているんだが」
「この紙を見れば分かる」
初は拓実から紙を受け取り目を通した。紙には拓実が纏めた日記の詳細が書かれていた。拓実たちは初が読み終えるのを待っていた。
「九条さん、兄貴が読んでいる紙には何が書いてあるんですか?」
「俺が預かった豊橋先生の日記を纏めたものさ・・・。かなり衝撃的だぞ?」
「そっ、そんなにですか!?」
「あぁ、そんなにだ。おっ・・・初が読み終えたみたいだな聞いてみるといい、マシュ?」
マシュが初を見ると手を目元に当て少しだけ青ざめていた。
「初、大丈夫ですか!?顔色が悪いです」
「奏者よ少し休んだ方がいいと思うぞ」
「大丈夫だよ、心配するな・・・」
アルトリアとネロは心配そうな表情を浮かべていた。初は少しだけ水を飲むと軽く深呼吸をした。
「初先輩、お話を伺っても宜しいでしょうか?もし、体調が優れないようでしたら別に構いませんが・・・」
「いや、話せるから大丈夫。大雑把に話すと、ある儀式の準備と儀式中に起こったこと、その後のことが纏められている。オレが知りたがったことは知ることができたが・・・衝撃的だ」
「知りたがったこと?それは何だよ、兄貴?」
「先生たちグループの死因だよ。鮎川が殺されたから他の人たちも殺されたと考えていたんだ。でも、違っていた」
「違っていた?」
マシュの疑問に初は頷いた。
「一人は儀式中に死んでいる」