第9章 図書館にて
午前10時 喫茶店
「こんな大所帯だとは思わなかった」
拓実の言葉には呆れた感情が入っていた。拓実は初と会う約束をしていた。お付きのサーヴァントはいるのだと思っていたが、予想を超える数になっていた。初は拓実の言葉を聞き苦笑しながらも頭を下げ軽く謝った。
「陰陽師の跡取りである歩を連れて来れば心強いと思ったが・・・」
「俺のサーヴァントたちが言うことを聞かなくて申し訳ないです、九条さん」
この場に歩と歩のサーヴァントであるモードレッドとマシュもいた。歩はサーヴァントが言うことを聞かなかったと言っているが、実際は言うことを聞かなかったのはモードレッドだけである。マシュとは、もともと会う約束を交わしていた。
「いや、謝らなくていいよ歩。賑やかで楽しいしな」
「はぁ~、そう言ってもらえると助かります」
「ご高名は伺っています。まさか、こんなにも身近な方だとは思いもしませんでした。私はマシュと申します。宜しくお願いします」
「宜しく、マシュ。で、残りは初だけか・・・」
「何が?」
初が首を傾げると拓実はニヤリと笑みを浮かべた。
「これだよ、こ・れ!」
拓実はそういうと自身の小指を立てた。それを見て初の疑問は一応解決した。
「サーヴァントはノーカンだとすると初だけが残る。マシュは元人間だから大丈夫」
「お前は何を言っているんだ!?」
「私と先輩は、まだそういう関係ではありません!!」
「そうです。からかわないで下さい」
歩とマシュは慌てながらも拓実に説明をしていた。二人とも顔が真っ赤である。拓実は苦笑していた。何故だかモードレッドが言いたそうな表情をしていたが堪えていた。
「まだ、ということは・・・?」
「拓、そこまでにしとけよ」
「そうだな、悪い。で、初は?」
「・・・」
「この際、サーヴァントでも構わない。いるだろう?好きなやつ」
(まだ、この話題なのか・・・)
初は呆れて手を頭につけため息をした。すると視線を感じたので見るとアルトリアとネロと目が合った。アルトリアはこちらを気にするような、ネロは何かを待っているように嬉しい表情を浮かべていた。
「それは後回しにしよう。もし、この場に藤田が居たら阿呆と言われているぞ」
「それもそうか・・・。なら、早速本題に移ろうとしよう。初、聞きたいことって何だ?」