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Fate/Fantasy Of Cthulhu

第7章 調査


・自分たちを冗談半分に「暗黒の兄弟」と呼んでいた友人たちが、1973年の春の始めに最初の集会を開いた。豊橋 昇が書記になって、記録をつけることになった。メンバーは創立者であり名目的なリーダーでもある鮎川 稔を含めて6人だった。
・1973年の6月、彼らは柏葉辻のすぐ近くにある古い農家を一件買い入れた。人に知られることなしに実験を行うためだった。彼らは文学的な友愛会を気取って農家をきれいに掃除し、家具も入れた。鮎川 稔は木のドアや窓に特別な防護の印を刻んだ。一同はその時は、彼のそんな用心深さを面白がって見ていた。
・それから何度も行われた実験のことが詳しく書かれている。霊的な世界と接触しようという試みだが、ごく無邪気なもので、明らかに何の効果も得られなかった。
(ここまでは先生の話の通りだな。まぁ、霊的な世界と接触しているのは初の家系だけどな・・・)
拓実は椅子の背もたれに寄り掛かり背伸びした。
背伸びをして再び要点を纏め始めた。
・1974年2月の日付のところで、鮎川 稔があるアーティファクトを手に入れたことが書かれている。エジプトの物だと言われているもので、蝶番のふたが付いた金属の小さな棺だと記述されている。中には琥珀の大きな塊が入っていた。その琥珀の中に、ある未知の類人猿のような生き物が閉じ込められているのだという。鮎川は興奮した。その箱は彼が東京大学総合図書館で見つけた一般的な資料本の中の記述と一致するものだったからである。
(蝶番のふたが付いた金属の小さな棺・・・これって、初が写真を撮ったものだよな?やっぱりエジプトの物だったか。そして、豊橋先生が恐れているのは・・・琥珀の中の生き物のことか?)
・鮎川はそれとは別の『妖蛆の秘密』(De Vermiis Mysteriis)という題の厚いラテン語の本の中に、この箱が持っていると言われる力についての説明が載っていると言った。琥珀の中に閉じ込められている生き物は友好的な霊魂を持っていて、霊魂の世界へ案内してくれるということだ。
・この霊的な生き物を召喚するための儀式を行うべき日が決められた。3月中旬の土曜日の夜ということになった。
拓実は日記の次のページをめくり見た。
そのページには儀式の時の様子が詳細に書かれていた。
拓実はこのページを複数コピーし目を通した。
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