• テキストサイズ

Fate/Fantasy Of Cthulhu

第6章 豊橋先生


恨みは恨みしか生まない。
憎しみは憎しみしか生まない。
そう教わった拓実は、恨みや憎しみを忘れるために、悲しみや怒りを鎮めるために顔を洗っていたのだ。
(先生の言葉・・・ちゃんと守ります)

同時刻 柏市立病院・入口
小悟狼はタバコを吸っていた。
豊橋先生からもらった箱を、ぼんやりと眺めながら。
(この箱が役立つものなのか?それは中身を見れば済むことだが・・・あいつらが戻って来てからで十分だろう)
口に溜めていた煙りを吐き豊橋先生が言っていたことを思い返した。
(今回の相手は化け物か・・・。まぁ、やることは変わらないがな)
悪・即・斬・・・小悟狼が貫き通す正義だ。

同時刻 柏市立病院・1階ロビー
初は椅子に座り呆然と天井を見ていた。
服に豊橋先生の返り血を浴びてしまったので、隠すために小悟狼からスーツのジャケットを借り羽織っていた。
(なぁ、初。ぼ~っとしてるのはお前の勝手だが、先生に言われたことを守れない奴は生徒失格だぜ?そりゃあ、お前はバンドの仲間を失って、ここに来て先生を失ってショックがでか過ぎるかも知れねぇが・・・いつまでもクヨクヨしてると死んだ奴が浮かばれねぇぞ)
兄貴肌のクー・フーリンは初を励ます言葉を念話した。
(そうだな、ここで立ち止まっても意味はないからな。ありがとう)

午後2時45分 柏市立病院・入口
「ほう、誰とは言わんが全員揃うとはな・・・」
「はいはい、俺が悪かったよ」
小悟狼が言った通りに、初、美希と拓実が時間通りに集まった。
15分前とは違い、全員がすっきりとした表情になっていた。
「箱の中身は見たのか、藤田?」
「いや、まだだ。全員が揃ってから見ようと思っていた」
初に言われ小悟狼が箱を開けた。
「これは・・・?」
小悟狼が疑問を浮かべ美希と拓実が箱を覗き込んだ。
「封筒ですね・・・。黄ばんでいますけど」
「封筒の中身は?」
拓実が言うと小悟狼は封筒を開け取り出した。
「権利書だな・・・これは。そして、鍵。この二つは柏葉辻の近くにある農家のものだろう」
「残りは日記帳と・・・棺桶型の箱だな。金で出来ていて古風なデザインが不気味だけどな」
「お兄ちゃん、その箱開くの?」
「ん・・・開いたな」
箱を開けてみたら中は空っぽだった。
「な~んだ。ハズレかよ」
拓実は肩を落とした。
「阿呆・・・当たりかも知れんぞ」
/ 105ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp