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Fate/Fantasy Of Cthulhu

第6章 豊橋先生


初は慌てて豊橋先生に駆け寄った。
豊橋先生は突然痙攣が起こったように息がつまり、体を折り曲げ、うめき声をあげ、大きな血の塊のようなものを吐き、初にかかってしまった。
「せっ・・・先生!?」
「いやぁぁぁ!!」
初が動揺し美希は叫び声をあげた。
「土御門、ナースコールだ!九条、医者を呼んでこい!」
小悟狼が一喝すると、初と拓実は頷き行動した。
「あぁ・・・」
「了解!」
すぐに病室の中は担当医、看護師、沙織、輝で騒がしくなった。
そして、輝が振り向き面倒くさそうに口を開いた。
「あんたらは、もう帰ってくれ」
「あぁ・・・了解した」
拓実は反感を覚え、輝につかみ掛かろうとしたが小悟狼が制し短く言い病室を退室した。
豊橋先生は病室の手厚い手当にも関わらず、それから1時間以内に息を引き取った。
それを聞いた美希は泣き崩れ、拓実はトイレに向かい、小悟狼は外の空気を吸いに出て、初はロビーの椅子に呆然と座っていた。
15分後に病院の入口に集合することにした。

午後2時30分 柏市立病院・廊下
「うっ・・・くっ・・・。先・・・生」
美希は廊下の壁に寄り掛かりながら泣いていた。
(眩しい笑顔しか似合わない、美希を泣かせるなんて先生も罪な人ですぜ。まぁ、そんな先生も美希に泣いてもらえるなんて幸せもんだな~)
(ロビン・・・)
ロビンフッドは自分に関係なさそうに念話して、さりげなくハンカチを渡した。
(はいはい、さっさと涙を拭く。いつまでも泣いてちゃ先生は眠れはしねぇ。それにお前さんには任された仕事があるだろう?早く片付けて先生を安心させようぜ、美希?泣くのはそれからで十分だ)
(うん・・・そうだね。ありがとう、ロビン)
美希は壁に寄り掛かるのをやめ、しっかりとした足取りで入口に向かった。

同時刻 柏市立病院・3階男子トイレ
(これが大切な人を亡くした喪失感、というものか・・・)
拓実は洗面台で顔を洗っていた。
探偵という職柄で人の死は何回か見てきたが、今日程喪失感を覚えたことはなかった。
(あと・・・一部の殺人犯の気持ちを理解できたかも知れない)
復讐による殺人にも何回か出くわしたことがあった。
大切な人を蔑ろにされ、復讐に及んだ犯人たちを。
輝に邪魔者扱いを受け怒りを覚え掴み掛かろうとした。
冷笑的な態度をしていたのを、ころりと変えた。
それが許せなかった。
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