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Fate/Fantasy Of Cthulhu

第6章 豊橋先生


「さて・・・続きを話そう。鮎川 稔というわしより少し年上の男に導かれて、六人の若者は古い農家を買い取った。そこは柏の葉キャンパス駅の西3、4㎞ところで、「柏葉辻」という名の村の近くだった。わしらは誰にも知られることなく、その農家で降霊会そのほかの霊的な研究をしていた」
「割と近場ですね。な、小悟狼?」
「・・・」
「藤田さん、大丈夫ですか?」
小悟狼は険しい表情をしていた。
美希が小悟狼の顔の前で手を振ると、小悟狼は沈黙をやめた。
「問題ない・・・」
「よく知られませんでしたね。オレの家系は陰陽師で、そういうことには敏感ですけど・・・」
初は感心し豊橋先生は苦笑した。
「フフ・・・確かにそうだ。だが、今思うと知られた方が良かったのかも知れんな。で、色々な実験的なことをしている内に、最後の時に予定外のことが起こった」
豊橋先生は興奮気味に話した。
初たちは豊橋先生の口から次の言葉が紡がれるのを静かに待った。
そして、豊橋先生はため息と共に言葉を口にした。
「何か邪悪な力(フォース)を、この世に召喚してしまった!!そして、怪物を退散させるかわりに、農家を捨ててしまった」
初たちは驚きのあまり、言葉を発することができなかった。
「驚くのも無理もない。無責任な奴だと思うだろう。だが、捨てることができたのは怪物をこの世に呼び込んだ魔術には、怪物を空き家に閉じ込めておく《従属》の力もあるという自信があったからだ」
初と美希は、陰陽術にも似たような術が存在していることを知っており納得した。
「だが・・・怪物を従属させた呪文は、呪文をかけた者が生きている間だけしか効いてないのだ。わし以外は全員亡くなっているんだ・・・」
豊橋先生は自分が死んだ途端にあの怪物が解放されて、辺りを荒らし回るのではないかと恐れていた。
力のない動作で、ベッドのそばのナイト・スタンドの上にある何の変哲もない金属製の箱を指し示した。
「君たち、その箱を持っていってくれ」
虫の息の豊橋先生はかすれた声で言った。
「わしが君たちにやれる物で役に立つのは、その中に入っているものだけだ。『あれ』をもと来た所へ追い返す方法は、君たちが見つけなくてはならん。必ず、追い返してくれ。お願いだ」
小悟狼がその箱を手に取り、開けてみようとした時・・・。
「ぐっ・・・!がっ・・・がっ・・・」
「豊橋先生!?」
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